2009年7月30日木曜日

自民党政権公約2005の検証-1-

2005年政権公約の自己評価を細田幹事長が行った。その結果が昨日公表された。
「取り組み中、あるいは一部実施」がB評価で、全てB以上とのことである。

公約の議論では、2005年政権公約を実際に見る事が大事なので、下記ウェブサイトに掲載されているのでご確認頂きたい。

http://www.jimin.jp/jimin/jimin/2005_seisaku/120yakusoku/

中身を見ていただければ分かるが、そもそも公約が法律上の文言のように微妙な言い回しで書かれていて、解釈でどのようにでも逃げることが出来るものになっている。

たとえば一例として「地方分権」とあわせて「地方行政改革」を断行します、と言うくだりに関連して、「道州制導入の検討を促進」があるが、あくまで「検討の促進」が目的で、「導入の促進」ではない。4年経ったいまでも道州制の道筋すら固まっていないのに、検討を促進したということでB評価になっているのであろう。
また、「(導入検討の)先行的試みとしての北海道道州制特区を推進する」と言う文言がある。ここでも特区の検討が一度でも議論のテーブルにあがれば「推進」したことになる仕掛けとなっている。
勿論4年経ても特区の概念などは存在しない。

本来公約とは実現されるべきゴールの姿が具体的であってこそ初めて意味をなすものなのだが、実態は表面的な「美辞麗句」の言い回しに終始しているため、逃げ道が張り巡らされているから公約を実施したかどうかの議論がナンセンスなものになっている。

と言うことは、公約の検証のあり方は、単なる公約実施のレベルで留まるのではなく、現場で見えている、抱えている問題に対して、「あいまいな文言を掲げた」自民党は何をしてきたのかと言う率直な視点で評価をすべきだと思う。それは国民一人一人が審判を下すものなのだと思う。

そして、その審判を下すための判断材料は必要であろうからそれをこれから提供していきたい。

まず第一回は、郵政選挙の唯一の争点として取り上げられた「民営化」と言う言葉が目指した本丸が一体何だったか、そしてその他の公約も掲げられていたが、その議論はスキップして、国民への説明責任すら果たさずに、2/3議席の暴挙で我々の生活を蹂躙したものは何だったのか。これを追って見ていきたい。

まず、郵政民営化とは一言で言えば、本丸は340兆円の郵貯・かんぽのマネーを自由に運用できるようにすることで、それは「アメリカの年次改革要望書」で書かれた、アメリカの金融会社が運用したいという要求を、小泉政権が忠実に実現させたものなのだ。「民営化と改革」という華麗な言葉に多くの国民が騙された。

上記のことは言い換えれば、新自由主義とかマネー資本主義のもとで暗躍したサブプライムローンの嵐に勢いを付け、世界を100年に一度の金融危機・不況に引きずりこんだ元凶の片棒を担いだことになる。これは非常に大きな責任問題である。

そして、郵政民営化の争点に隠された、しかし非常に重大な影を我々の生活に投げかけることになる問題の部分は、
1. 三位一体改革: 地方補助金廃止と地方交付税見直し、一方で財源委譲を拒む構造のため財政破綻の地方自治体が続出。
2. 医療制度改革: 後期高齢者医療制度で老人医療費補助の削減と老人の貯金を吸い上げる構造を実施。「安心な生活」と言う言葉とは裏腹な仕打ちをしている。
  また、産婦人科医、小児科医の減少を導き出し、多くのたらい回し失命という事態を生んだ。
  さらに、医療機関での介護的・リハビリ用ベットが廃止されることになり、路頭迷う弱者が続出。
3. 介護保険制度改革: 介護レベル認定基準が引き下げられ、介護現場での介護要レベルとの乖離という問題など、介護システムの崩壊という危機に瀕している。
4. 年金制度: 年金システムの破綻を検知していたのに、表に出さずに、社会保険庁を廃止しすることで、闇から闇に葬ろうとした。
5. 非正規労働者対策: 対策はなされず、加えて「非正規」を広く認知させて、多くの安い労働力として潜在させる構造になり、結局今回の不況で多くの失業者を生み出した。
6. 肝心要の政治改革、国会改革、公務員制度改革、地方分権などが骨抜きのままである。天下りの改革も放置されてきた。なにが「郵政民営化」を突破口にして「改革断行」だ。

である。

これらの多くの問題を抱えながら、それに目を向けず、ただ2005年政権公約達成と自画自賛している自民党はやはり、国民のための政治をしていない。自民党議員が政治家でいられるための政治をしている。
ここに、自民党の問題の本質が・本丸がある。

次回以降これを見て行きたい。

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