2009年8月17日月曜日

自民党政治の劣化と公明党の役割

悲しむべきことですが、自民党政治の質の劣化の具体的な事例には事欠きません。中でも安倍・福田両首相が1年で一国の総理大臣の職務を放棄した事件はまだ記憶に新しいと思います。両首相は自民党総裁として圧倒的な党内支持を得て選ばれました。そして前任の首相が途中で職務放棄をすると、懲りずに同じ思考で、しかも圧倒的な党内支持で次の総裁を選び、これまた同じように1年で職務放棄をするということを繰り返したのです。麻生首相の任期はまだ1年経っていませんので、途中放棄という事態には至っていませんが、執行している政治のレベルは両先輩首相と同じです。

問題は安倍・福田・麻生首相の国の経営者としての通信簿の点数が低いということだけでなく、リリーフピッチャーのような総裁を自民党が高い支持率で選出し続けてきたという事実です。勿論国民に信を問うというプロセスはまったく行っていませんし、国民への総括もしていません。

少し考えることの出来る議員なら、自分たちが選んで国の経営を任せた総裁が行った職務放棄に対して、自民党が取った行動はどれほど不合理で、矛盾に満ちているかわかりそうなものです。しかし、実際は1度でなく、2度も行い、3度目も起こりそうになったのです。これは江戸時代も末期のお家大事で揺れ動くに等しいでしょう。

このような事態に陥った理由は色々とあるのでしょうが、
(1) 世襲議員が多くを占め、地盤・看板・鞄の苦労も無く、政治の理念も希薄
(2) 選挙票頼みの公明党との数字合わせの連立で政治の原点が見えなくなっている
これらにより、政治の質が劣化しているのです。

そして、2009年自民党公約では、世襲に対する世論の風当たりを和らげるため、世襲の制限を設けました。しかし、実はこの制限に関して面白いトリックが今回予想通り現れました。公約では引退に伴い同一選挙区での世襲候補の公認または推薦をしないとしました。そこで青森1区で津島前議員の長男が無所属で出馬することになりました。ところがここからトリックです、公明党が津島氏の長男の推薦をすることになりました。青森1区で自民党が他の公認候補を出馬させるなら、世襲議員を「公認も推薦もしない」という論理は実質的に完全に履行されますが、対立候補者を立てないとか、公明党が推薦するとかと言うことになれば、実質公認に等しく、当選後自民党に所属させるという道筋も見え見えというものです。他の選挙区でも同様です。

何故世襲に制限を設けて自律的に体質改善を進めて行かなくてはならないのか、問題の本質が分かっていないのです。つまり政治の質を劣化させてきているという自覚が無いのでしょう。

麻生首相がしきりと「責任力」なる言葉を多用していますが、おそらく責任という言葉の意味も分かっていないのだと思います。
政治の質を取り戻す、成熟した民主主義による議会政治を築き上げる、これが議員にも、国民にも求められている、今一番重要なことです。2009年衆院選挙をこの心意気で切り開いていきましょう。

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